DIARY

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...... 2015年09月23日 の日記 ......
秋分の日


■ ハウソフィー小説   [ NO. 2015092301-1 ]
陽もすっかり傾いて来た。
テラスに干している洗濯物もすっかり乾いてはいるはずだろう。
だがマルクルは、今日の朝からソフィーと一緒になって一生懸命干した洗濯物を取り込んだ方が
いいのかどうかと思案中だ。
それというのも、夏場ならいざしらず、秋風も吹きはじめたこの季節。見た目はすっかり
乾いていそうな洗濯物も、室内に移動してみれば、まだ湿気が取れて無いなんて事もある。
というわけで、マルクルはソフィーにお伺いをたてようと、お城にいるはずのソフィーを捜しまわっていた。

「あれ?いない?」
いつもならお城のあちこちを掃除してまわっているはずのソフィーなら探すよりも先に、あっちをがしゃがしゃ、こっちをがざがざと、何かしら掃除の音がするからすぐに見つけられるのに、今日に限ってまったく
見当たらないのだ。

「ここにもいない?おっかしいなあ〜」

ふと扉の前を横切ろうとした時、扉が少し開いていたおかげだろう、声がする。はっきり聞こえるのは女性の声。聞き覚えのある声にマルクルは急いで扉を開けて入っていこうとするが…

「どうしたんだい?マルクルや」
扉の前で躊躇しているマルクルに荒れ地の元魔女こと、「おばあちゃん」が声をかけた。

「うん、ソフィーに洗濯物を取り込んでもいいかな?って聞こうと思ったんだけど…」
「あの子は今花畑にいるはずだろう?入ればいいじゃないか?」
「うん、でも今取り込み中みたいだから…ι」
「取り込み中?何のだい?」

「だから一体何なのよ!答えなさい!!ハウルーーー!!!」

確かソフィーがいるのは扉がある場所からは結構奥の花畑のはずなのにこの声量は…とうとうソフィーが
切れてしまった為だろう…

「…なる程ねι相変わらず良く通る声だことι」
「でしょ?またハウルさんが何かやったのかな?ι」

二人が顔を見合わせながらため息を付く。二人とも「またか…」という風情だ。本当にハウルはソフィーを
よく怒らせてしまう。まるでそれが自分の生き甲斐だと言わんばかりに。いや、本当にもう生き甲斐なのかも
知れない。ハウルはソフィーに構ってもらえる為には手段なんて選んでいないという附しがあり、それが
度々、関係のないマルクルやおばあちゃんに迄飛び火してしまうのだ。

「まあ原因はハウルのほうに有るんだろうけどね。どれ私がちょっと行って見て来るから、マルクルは
早く洗濯物を取り込んでおいで」
「いいのかな?まだ少し湿っているような気がするんだけど…」
「どのみちこのまま陽が沈んじまったら同じ事だよ。ほら行っておいで。私のほうからソフィーに言って
おいて上げるから」
「うん!わかったよ!」

マルクルはやっと答えをもらい、一目散にテラスのほうに干している洗濯物に駆けて行った。

「さて、私はこの城の本当の主人に答えをもらいに行こうかね?」

扉から一歩入ると、とても気持ちの良い風が吹き抜けている。
夕方でもなければこのままお気に入りの椅子を持って来て一眠りしたい所だけど、あいにく歩を進めて
行くにつれて、騒々しいまでにハうルに詰め寄っているソフィーの声が聞こえて来た。

(…やれやれ、一体何をやらかしたんだろうねぇーあの男は…)







「痛!ちょ、ちょっとソフィーってば、さすがにぐうーで殴ると僕だって痛いんだけど…ι」
「何よそんなの!!魔法使ってなんとでもなるんでしょう?!って違うわよ!だから答えなさいよ!」

「やれやれ…騒々しいねぇーι扉が開いていたら結構店先迄聞こえているよ、ソフィーや。」
「おばあちゃん!」
「マダム」

「…ソフィーや、いくら新婚でもまだ陽があるのに、その格好はレディーとしてどうかと思うんだけどね?」

おばあちゃんの指摘に、改めて自分の姿を確認すると、あの悪名高き魔法使いハウルを相手に、見事ぐらいの馬乗りになって、ファインティングポーズを決めている自分の姿にやっと怒りの鉾先がゆるんだのだろう。ぱっとハウルの上から移動した。
ハウルはやっと助け人が来てくれたという安堵感と少々残念そうな微妙な表情をしている。
殴られるのは勘弁だけど、ソフィーが馬乗りになってくれるのは大いに大歓迎だといった所か。

「ソフィー、マルクルがさっきからあんたを探していたよ」
「マルクルが?」
「ああ、何でもテラスに干している洗濯物がどうのって言ってたけどねえー」
「ああーー!!」
ソフィーの劈くような悲鳴にハウルも魔女も思わずビクリと体を堅くしてしまうが、悲鳴を上げた
当のソフィーは
「いっけない!こんな事している場合じゃないわ!洗濯物が台無しになちゃう!!」
言うが早いか、ハウルから瞬時に離れて青いドレスをツイっとたくし上げたかと思うと突風が
過ぎ去るように城へと駈けていった。

「はあ〜」
 ソフィーが自分の腹部からやっと離れた事に、口ではやれやれと疲れた様子だが、それが殆ど
演技だという事に魔女はとっくに気付いていた。だから…
「で?ソフィーがあんなに怒っていたのは、一体何が原因なんだい?」
いきなりの質問にギクリとしながらも、何喰わぬ素振りでハウルは返答する。
「…何の事です?マダム」
「白ばっくれても駄目だよ?私を誰だと思ってるんだい?腐っても荒れ地を支配していた魔女だ…」
あんたのその笑顔は、昔の杵柄だってとっくに知っているよ。と言わんばかりの魔女の態度。
その自信満々の魔女の態度に
「…さすがですね」
適わない女性がここにもいましたね。と、今度は本当に笑った。
ソフィーに会う迄は口元しか笑わなかったこの男が。
今ではどうだろう、この締まりのない笑い方は…
見ていてこっちがこそばくなってくるじゃないか…

「…で、原因は?」
「いえそれが〜…本当にね、何でもないんですけよ…」
ぽりぽりと頭を爪で引っ掻き、心無しか頬が紅い。まるで少年のように微笑むその姿はどこから
どうみても、噂されていた「魔法使い」とは懸離れていて…

「…見蕩れてしまったんですよ///」
「は?」
一体この男は何を言った?見愡れた?誰に?
「…だから!見蕩れたんですって///奥さんに…///ι」
魔女がきょとんした顔に、照れたのかハウルは吐き捨てるように言う。今の台詞が過去の自分を知る
者が聞けば、どれだけ違和感が生じるのかハウル自身良く分かっていた。でもこの魔女には嘘や誤魔化し
が通じないのであれば、正直に話すしか無いではないか。でも…物凄く恥ずかしいのもまた事実で…

一方魔女の方もハウルが言った事に思考回路がしばらく止まっていたらしい事にようやく気付く。
奥さんと言えば、当然ソフィーしかいない。しかし、いやしかしだ!この男が?
絶世の美丈夫で、美女の心臓を喰うと言われた「悪名」を持つこの男が?
こんなに耳やら首までも真っ赤しながら俯くハウルを見て、さっきの言葉がけして戯けて出た言葉では
ない事は明白だった。

ソフィーとて美しい娘だが、美女という部類ではないだろう。
だが、護られるのが当たり前だと思っているだけの女とは違う。
ソフィーは愛する男の為に自分の身を呈する事など、恐れないしなやかで強い女だ。
なにせこのハウルが幼い時とはいえ、一目惚れさせたのだから(本人談)。
だからといって…この男が…
今さらながらハウルをここまで骨抜きにさせた少女に感動すら覚える。
だがまだ肝心な事を聞いていない事にはたと気付いた魔女は意地悪くニヤリと微少を浮かべた。

「で?どこにだい?」
と応酬した。
「い?!…///」
「ここまで聞いたんだ。今回はどこでどうやって見愡れたのかきっちり答えてもらおうかい?♪」
ニヤニヤとした魔女の笑い顔に、今度は心底げんなりとしたハウルだったが、この後に及んで
このまま無視する事もできず…ハウルは観念したように先程よりもさらに顔を紅くして頷いて

「僕もマルクルと同じで、さっきソフィーを呼びに言った時に…」ゴニョゴニョ
「うんうん、それで♪」
「夕日を見ていたんですよ…彼女が…////」ゴニョゴニョ
「それから?」
「…で、名前を呼んで…ソフィーが僕の声に気付いて…振り返って…」ゴニョゴニョ
「…だから?」
何だかちょっと腹が立って来たかもと思いながら、魔女は辛抱強くハウルの言葉を待った。

「その…夕日に照らされたソフィーの姿が…その…僕が言うのも違和感があるかとは思うんですけど…」
「…」ちょっと後悔してきた魔女は、額に指を当てつつ辛抱強く待った。

「天使…に見えてしまって…////」
「!!」
ハウルの言葉に荒れ地の元魔女は一瞬呆気に取られたが、すぐに

「オーホッホッホーーーーー♪」
声だけは貴婦人のように、しかし高らかな笑い声を出して、盛大に笑った。
「…マダム〜〜〜ι」
笑い者にされたハウルとしては、ああ、やっぱり笑われたか…という諦めの表情をしてムスっとしている。
まあ、昔からのハウルを知っているこの魔女なら、当然か。

「でも…クック♪どうして…ププ…♪見愡れていただけのアンタに…ソフィーはあんなに怒っていたんだい?プウー♪」
「それが墓穴だったんですよ…いいかげん笑うのやめてくれませんか?マダム!///」
いつまでもケタケタ笑っている魔女にいいかげん、ハウルも辟易していた。自分のキャラじゃないのはハウル自身が
一番良く分かっている。それでも天使に見えた。とても人間には見えないソフィーに見愡れたのだ。

「あー良く笑ったね〜」まだ笑ってるし…とハウルは心の中で毒づいて
「でもそこから本題の続きがあるんだろう?ソフィーがあれだけ怒っていた理由は?」
「いえ、本当にそれだけ何ですよ…本当にただ見愡れてて、言葉も出ないぐらいに…」

夕日をバックにして佇んでいるソフィーは本当にとてもとても綺麗だった。
星色の髪が夕日に反射して、金色になってキラキラと瞬いていた。その光りはソフィーの髪だけではなくて、
彼女の全身を包んでいて…本当に声もなく惚けていたら

「…どうしたの?ハウル?」
天使が目の前に!!しかも上から見上げてくるし!!近いし!!!////
「うわわわわわわーーーーーーー!!!!!」
思いきり後ろにジャンプして、着地に失敗。そのままソフィーの方に向いたまま前進って…ιはっきりいってみっともない…ι
体中嫌な汗が吹き出してくるし、息も上がるし、戻ってまだ月日も経過していない子供のままのハウルの心臓は悲鳴を上げるしで…
寿命が縮んだというのはこうい時に感じる事なんだなと妙に納得していたりして…

「だから本当にそれだけだったんですけど、僕がソフィーの質問にどうしても答えない
ものですから、それで彼女を怒らせてしまいまして…」
「そりゃー言えないね。あんたはつまんないプライドだけは高いから。間違っても
ソフィーよりあんたの方が見蕩れるぐらい惚れているなんて知られたく無いんだろう?」
「…はい///」
本当につまんない理由だね。と毒付き、大袈裟なため息を付くけれども、魔女は満更でも
ない様子。
(やっと人間らしくなって来たんじゃないかい?)
美しいが、冷たく暗く、口元だけの笑顔しか出来なかった過去のあんたより、顔を真っ赤にしてクシャクシャに笑う、人間らしい今のあんたの笑顔の方が、私はとても気に入っているんだよ…

「でもあんなに怒っていたんだから、説明しないと納まらないんじゃないのかい?」
「ですよね〜…」
魔女の提案に心底困ったように溜息を吐き出すハウルを正直可愛いと思う。
「まあいいんじゃないのかい?昔の杵柄でソフィーを丸め込んでおしまいよ。」
それなら簡単だろう?という提案も。
「それが…ソフィーだけには通じないんですよ…ι」
心底がっかくりして困って…いない?おや?ι

よくよく見てみると、ハウルの口元はニヤリと笑っているではないか?!
「…あんた、、、本当は楽しいんだろう?…」
「いえいえ!本当に困ってますよ♪」
さっきの可愛いなんて言った事は訂正!!この魔法使いが自分に不利な事をしかけて来る
はずがなったという事を、この私でさえうっかり忘れさせたのだ!私ださえそうなのだから、ソフィーのように男慣れしていない小娘なんてあっという間にハウルの腕の中に収めてしまうだろうが!
「やっぱり可哀想なのはソフィーの方だったかい…」

遠くに見える、今だ眩しく輝き沈んで行く夕日を見ながら、魔女はぼそりと呟いた。

「今夜は色々な意味で、荒れるね…」




2008.11.23 FIN

約二ヶ月かかってこの低たらくですよιこんな駄文をわざわざ読んで頂いて方…
本当に感謝しますよ!!!












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